短い答え:ヒアルロニダーゼは、ヒアルロン酸を分解する酵素です。フィラーのジェルを溶かす際に、その部位にもともとあるヒアルロン酸にもしばらく影響することがあります。しかし、肌自身のヒアルロン酸はもともと絶えず分解され、つくり直されています。筋肉、脂肪、骨などの組織を溶かすことはありません。知られている副作用の多くは一時的なもので、まれにアレルギーがみられることがあります。この処置はヒアルロン酸フィラーにのみ効果があり、医師が行うべきものです。
このうわさはどこから来たのですか?
ヒアルロン酸フィラーの重要な特徴の一つは、必要に応じて溶かせることです。そのために、医師はヒアルロニダーゼという酵素を部位に注射します。溶かした後、部位がフィラーを入れる前よりもさらにボリュームがなく、こけて見えると感じる人もいます。そこから、酵素がフィラーだけでなく顔の自分の組織まで溶かしてしまうという考えが生まれます。
このうわさには一定の根拠があります。私たちの肌や結合組織にももともとヒアルロン酸があり、酵素はフィラーのヒアルロン酸と体のヒアルロン酸を区別しません。うわさが誤りになるのは、この知識から出発して、その影響が永久的で破壊的だと結論づけるときです。
ヒアルロニダーゼはどのように働くのですか?
ヒアルロニダーゼは、私たちの体にももともと存在する酵素のグループです。その役割は、ヒアルロン酸の長い鎖をより小さな断片に分けることです。医療では長年にわたり、たとえば一部の薬が組織に広がりやすくするために使われてきました。美容医療では、ヒアルロン酸フィラーを溶かす目的で使われます。
この酵素が主に標的とするのはヒアルロン酸です。筋肉、脂肪、骨、あるいは肌を支える線維であるコラーゲンなどの構造を溶かすことはありません。また、組織の中で短時間のうちに働きを失います。そのため、その影響は注射した部位と短い時間に限られます。
体自身のヒアルロン酸はどうなるのですか?
実験室での研究や小規模な臨床研究では、注射したヒアルロニダーゼが組織にもともとあるヒアルロン酸も分解しうることが示されています。つまり、うわさのこの部分はまったく根拠がないわけではありません。
しかし、私たちの体のヒアルロン酸は、ずっと同じ場所にとどまっている物質ではありません。科学的な資料によれば、成人の体内にあるヒアルロン酸のおよそ3分の1が毎日分解され、つくり直されています。皮膚では、このサイクルは数日ほどの短い期間で一巡します。そのため、酵素がもともとあるヒアルロン酸に与える影響は一時的なものと考えられます。
ここで正直にお伝えしておく必要があります。健康な人の顔で、溶解処置の後にもともとあるヒアルロン酸がどのくらいの期間で元の量に戻るのかを測定した研究は限られています。現在の知見は永久的な組織の喪失を示していませんが、正確な期間を知るにはさらなる研究が必要です。
ヒアルロニダーゼはヒアルロン酸フィラーを溶かすために使われる酵素で、体自身のヒアルロン酸は絶えずつくり直されています。この処置は、必要なときに、医師が行うべきものです。
Dr. Hamza GemiciDoktorclub メディカルディレクター · 美容医療に携わる医師
溶かした後、部位がこけて見えることがあるのはなぜですか?
この感じ方にはいくつかの説明があります。まず、その人は何か月、何年もの間、フィラーが入った見た目に慣れています。フィラーがなくなると、見慣れた状態と比べて部位のボリュームが少なく見えます。また、フィラーが入っていた間も顔の加齢は進んでおり、現れた見た目はフィラーを入れる前の写真とは異なっていることがあります。
溶かした後の最初の数日は腫れがあり、その後その腫れが引いていくことも、見た目が変わりやすい原因になります。溶解の後に短期間のボリューム減少を指摘する医師もいますが、それがどのくらいの頻度で起こり、どのくらい続くのかについての根拠は限られています。部位の最終的な状態を評価するには通常しばらく待ち、再びフィラーを検討する場合は、そのタイミングを医師と計画します。
実際のリスクは何ですか?
ヒアルロニダーゼも薬であり、副作用があります。最もよくみられるのは、注射した部位の一時的な腫れ、赤み、圧痛、かゆみです。この酵素に対するアレルギー型の反応が報告されていますが、その多くは局所的で軽いものです。全身に広がるじんましんや、唇や舌の腫れなどの重いアレルギー反応はまれです。ハチ(ミツバチやスズメバチ)に刺されたときのアレルギーがある人ではリスクが高い可能性があるため、必ず医師に伝えてください。施術の前に小さな皮膚テストを行う医師もいますが、このテストで遅れて始まるアレルギー反応を常に予測できるわけではありません。
一方、血管閉塞のような緊急事態では時間がとても重要で、酵素によって得られる利益は、起こりうる副作用のリスクを通常上回ります。この判断は、緊急事態を評価する医師が行います。フィラーに関連する緊急のサインについては「フィラー後、どんなときが緊急事態?血管閉塞とその他の警告サイン」をご覧ください。
溶解処置の後に次の症状が出たら、待たずに112(トルコの救急番号。日本では119)に電話してください
- 息苦しさ、ゼーゼーする呼吸、または飲み込みにくさ
- 唇、舌、のど、顔が急速に腫れてくる
- 全身に広がるじんましんやかゆみ
- めまい、気が遠くなる感じ、または動悸
アレルギーのそのほかの現れ方と、どうすべきかについては「美容医療におけるアレルギー反応」をお読みください。
どのフィラーなら溶かせますか?
ヒアルロニダーゼが溶かすのはヒアルロン酸フィラーだけです。永久的なフィラーや、ヒアルロン酸以外の成分でできたフィラーは、この酵素では溶かせません。そのため、以前に受けたフィラーの種類を知っておくことが大切です。フィラーの種類と起こりうる問題については、「ヒアルロン酸フィラー:どんな治療か、どのように行うか、どんなリスクがあるか」と「フィラーの合併症」をご覧ください。
なぜ医師だけが行うべきなのですか?
- まず、問題が本当にフィラーによるものかどうか、そしてフィラーの種類を診察で確認する必要があります。
- 酵素の量と注射する箇所は、問題の種類と部位に応じて医師が計画します。
- アレルギー反応が起きた場合にすぐに対応できる医療機関の環境が必要です。
- インターネットで販売されている溶解用の製品や自宅での処置には、出どころのわからない製品が含まれていることがあり、深刻なリスクを伴います。使わないでください。
まとめ
フィラーを溶かしたときに顔の自分の組織が永久に溶けてしまうことを示す根拠はありません。酵素はヒアルロン酸を標的とし、その部位にもともとあるヒアルロン酸に一時的に影響することがありますが、体はこの物質を絶えずつくり直しています。実際のリスクの多くは一時的な副作用と、まれにみられるアレルギーです。溶かすかどうかの判断は、診察の後に医師と一緒に行うべきです。
医師に聞きたい質問
- 私に入っているフィラーの種類は何ですか?ヒアルロニダーゼで溶かせますか?
- 私の場合、溶解処置はなぜ必要なのですか?ほかの選択肢はありますか?
- ハチに刺されたときのアレルギーがあります。この処置は私にとってリスクがありますか?
- 処置の前に皮膚テストを行いますか?
- 溶かした後、どの症状は正常で、どの症状は警告サインですか?
- 部位の最終的な状態を見るには、どのくらい待てばよいですか?
- 再びフィラーを検討する場合、いつ相談できますか?
よくある質問
フィラーを溶かすと、顔が以前よりも悪く見えるようになりますか?
それを示す強い根拠はありません。溶かした後の見た目は、フィラーが入った状態と比べて評価されることが多いため、ボリュームが少なく感じられることがあります。また、フィラーが入っていた間にも年齢を重ねています。短期間の変化はありえますが、最終的な見た目を評価するには、医師がすすめる期間を待つべきです。
ヒアルロニダーゼは筋肉や脂肪の組織を溶かしますか?
いいえ。この酵素が主に標的とするのはヒアルロン酸です。筋肉、脂肪、骨、コラーゲン線維などの構造を溶かすことはありません。
溶解処置の後、肌自身のヒアルロン酸は戻ってきますか?
体はヒアルロン酸を絶えず分解し、つくり直しています。そのため、酵素がもともとあるヒアルロン酸に与える影響は一時的なものと考えられます。ただし、健康な顔の肌でその期間が正確にどのくらいかを測定した研究は限られています。
ヒアルロニダーゼのアレルギーはよくあるのですか?
注射した部位に、かゆみ、赤み、腫れなどの局所的な反応がみられることがあります。全身に広がる重いアレルギー反応はまれです。ハチ(ミツバチやスズメバチ)のアレルギーがある場合や、以前にこの酵素に反応したことがある場合は、必ず医師に伝えてください。
どんなフィラーでも溶かせますか?
いいえ。ヒアルロニダーゼが効果を示すのはヒアルロン酸フィラーだけです。永久的なフィラーやほかの成分でできたフィラーはこの酵素では溶けず、そうしたフィラーによる問題の治療は異なり、ときにより難しくなります。
インターネットで買った製品で、自分でフィラーを溶かしてもよいですか?
いいえ。そうした製品の中身や安全性は不明で、誤った使い方やアレルギーが起きたときに対応してくれる人もいません。溶かすかどうかの判断と処置は、診察の後に医師が医療機関で行うべきです。
出典
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- Injected Hyaluronidase Reduces the Volume of Exogenous Hyaluronate Fillers in Mice and Results in Clinical Improvement in a Patient with Pretibial Myxedema (Menzinger S, Kaya A, Saurat JH, Kaya G). Dermatopathology (Basel) 2016;3(3):61–67 — Dermatopathology, 2016
- Dermal Fillers (Soft Tissue Fillers) — U.S. Food and Drug Administration (FDA)
美容医療専門家委員会
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